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Melting Sweet*Extra

第6章 壊されるほどに*Act.2☆

「あー……」

 多量に入ってしまった日本酒とジン入りのグラスを持ち上げながら、衛也君は呆然と眺める。

「レモンジュースで調整したら?」

 よけいなこととは思いつつ、ついつい口出ししてしまった。

 でも、それが衛也君にはありがたい助言だったらしい。
 「そうですね」と素直にニッコリ頷き、今度は先ほど以上に慎重にグリーンティーリキュールを注いでから、レモンジュースを多めに入れてゆく。

 出来上がったカクテルは、思ったよりも緑が薄めだ。
 グリーンティーリキュールに対し、レモンジュースが多かったせいかもしれない。
 ただ、その分、ジンが余分に入ってしまったから、色に関しては仕方ないとしか言いようがない。
 いや、そもそも、カクテルはシェーカーを使って作るものだから、グラスで直に作ること自体が間違っているのだけど、そこはあえて何も言わないことにした。

 さらに、混ぜ合わせるのにマドラーではなく大きめのスプーンを使ったことも、彼らしいと言えば彼らしい。
 さすがに私の所にはマドラーはあるけれど――ただし百均で買ったもの――、衛也君にマドラーを買うという発想は元からないのだ。
 こういう、変に細々としていないところも私は好きだけど。

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