Melting Sweet*Extra
第1章 もう少しだけ*Act.1
「美味いですよ」
お世辞ではなく、素直な感想を伝えた。
それでも、夕純さんはなおも疑わしげに、「ほんとに……?」と訊いてくる。
「ほんとですって」
俺は思わず肩を竦めた。
「濃過ぎず薄過ぎず、ちょうどいい感じだと思いますよ。これだけ上手なのに、料理出来ないなんて正直信じられません」
「でも苦手なの!」
得意なのを自慢するならともかく、苦手を威張りながら強調する夕純さんに苦笑いしてしまう。
「私ほんとに家事ダメなんだから! 料理なんて一番ダメ! ――『お前の作るもんはどれも不味くて食えたもんじゃねえ』って、散々言われてきたんだから……」
過去のことを想い出してしまったのか、夕純さんの表情に翳りが差した。
そういえば、夕純さんは男運が悪かった、なんてことを言っていた。
それにしても、どこで夕純さんの落ち込みスイッチが入ってしまうのか未だに予測不能だ。
それだけ、過去の男達に酷い目に遭わされた証拠なのだろうけれど。
とはいえ、俺も夕純さんのことをとやかく言えない。
むしろ、俺の方が夕純さん以上に黒歴史を背負っている。
夕純さんに出逢わなければ、恋愛なんてものにずっと無縁だったかもしれない。
お世辞ではなく、素直な感想を伝えた。
それでも、夕純さんはなおも疑わしげに、「ほんとに……?」と訊いてくる。
「ほんとですって」
俺は思わず肩を竦めた。
「濃過ぎず薄過ぎず、ちょうどいい感じだと思いますよ。これだけ上手なのに、料理出来ないなんて正直信じられません」
「でも苦手なの!」
得意なのを自慢するならともかく、苦手を威張りながら強調する夕純さんに苦笑いしてしまう。
「私ほんとに家事ダメなんだから! 料理なんて一番ダメ! ――『お前の作るもんはどれも不味くて食えたもんじゃねえ』って、散々言われてきたんだから……」
過去のことを想い出してしまったのか、夕純さんの表情に翳りが差した。
そういえば、夕純さんは男運が悪かった、なんてことを言っていた。
それにしても、どこで夕純さんの落ち込みスイッチが入ってしまうのか未だに予測不能だ。
それだけ、過去の男達に酷い目に遭わされた証拠なのだろうけれど。
とはいえ、俺も夕純さんのことをとやかく言えない。
むしろ、俺の方が夕純さん以上に黒歴史を背負っている。
夕純さんに出逢わなければ、恋愛なんてものにずっと無縁だったかもしれない。