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ママ、愛してる

第3章 愛の暮らし

「ねえ、ちょっと旅館でイタズラしない?」

駅から温泉宿に向かうタクシーの中で、ママが僕に耳打ちする。
「イタズラ?」

ママは頷いた。
「あのね、わたしたちの関係、夫婦ってことにするの」

「さすがにそれはダメじゃない?」
「でも、コウはわたしのことを女性として愛してくれてるんでしょう?年はまだ15歳だけど、16歳になれば結婚できるんだよ。1歳位はサバ読めるでしょ?」


旅館に入ると、ママはフロントで名簿に記入した。
僕は隣で手元を見つめる。
続柄の欄に、ママは平然と「夫」と書く。
フロントの女性は、一瞬
「えっ?」
というような目で僕たちを見比べたが、何も言わなかった。

お部屋係の女性が来て、荷物をお持ちしますと言う。
ママは荷物を渡して、僕に言う。
「あなた、大丈夫」

僕も少し調子に乗ってきた。
「大丈夫だよ。絢子だけお願いしたらいいよ」


部屋で休んでいると、若女将が挨拶にきた。

通りいっぺんの挨拶の後、興味津々で訊ねる。
「新婚旅行か何かですか?」

「ええ。先月結婚したばかりなの。わたしの仕事が忙しくて式も上げられなかったから、せめてちょっと豪華な旅行でも、と思ってこちらでご厄介になることにしましたの。よろしくお願いしますね」

二人の会話を聞きながら、僕は噴き出しそうになるのを堪えていた。

それにしても・・・
と、僕は思う。
若女将という人も、結構綺麗な女性だけど、ママの前ではくすんでしまう。
ママはやっぱり世界一の女性だ。

若女将が部屋を出るのを待って、僕はママを押し倒した。

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