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ママ、愛してる

第3章 愛の暮らし

温泉街は山間にあるのだが、列車で1時間ほど行くと日本海に出られる。

ママのふるさとの瀬戸内とは、全く違った海の景色の中をふたりで散策する。

春の観光シーズンとはいえ、小さな漁村があるだけのこの土地を、訪れる人などいない。

灯台に向かう堤防の周りに置かれたテトラポッドに腰掛けて、波が打ち寄せるのを見つめる。
ママの手を握り、時折唇を重ねては、また景色を見つめる。

海以外には何もないけれど、ママと二人きりの大切な時間が流れる。


「コウ、写真を撮ろうよ」

ママが携帯電話を取り出した。

ふたりで並んで、海をバックにシャッターを切る。

セルフタイマーを使って、キスしているところも。

「自撮り棒買ってくるんだった」

ママが悔しそうな顔をした。

「ねえ、ここだったら誰も来ないよね」

「うん。多分・・・」

僕が答えると、ママはカーディガンを脱ぎいだ。

「背中のファスナー下ろして」

ママの言う通りにワンピースのファスナーを下ろすと、スルリと足元に落とした。

ワンピースの下は、何も着けていない。

海の碧にママの白い肌が映える。

「コウ、撮って」

ママが堤防やテトラポッドの上でポーズを取るのを、カメラマンになった気分で撮影していく。

大自然の中、陽光を浴びているママは、人工の光の中とは全く違った魅力が溢れていた。

ママは、貧乳がコンプレックスだと時々言うけれど、こんなにバランスの取れた魅力的な身体はないと思う。

ほかの人の裸体は、ビデオや雑誌でしか見たことはないけれど、世界でいちばん美しい。

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