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ママ、愛してる

第4章 由香

由香の存在感は大きくなっていった。

それ自体は、何の不満もない。

彼女のお陰で、ママも僕も、とても助けられているから。

ただ、心に引っ掛かるのは、ステーキハウスでの話だった。

由香は、ママを愛していると言った。
ママの涙は見たくないと言った。

愛しているって、どういう意味だろう。

女性同士で恋人になりたい、つまり由香はレスビアンってこと?

それとも純粋に、人間として、或いは家族のような存在として?

由香からは、あの日以来、その事に関して何の話もなかった。

もちろん、ママからも。

と言うか、由香からママには話さないで、と言われていたから、ママ自身なにも知らないと思う。

おそらく、ママにしてみれば、信頼出来る従業員であり、娘のような存在なのではないか。

いずれにしても、恋愛経験のない僕には、判断がつかなかった。

ただ、今の平穏がこの先もずっと続くように祈るだけだった。


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