ママ、愛してる
第4章 由香
梅雨が明けて、本格的な夏がやって来た。
大きな波風もなく、平穏な時間が流れていた。
終業式のあと、僕は久しぶりに直接喫茶店に行った。
モーニングが終わって、少し落ち着いている時間だから、早めの昼ごはんでも食べさせてもらう予定。
店には、年配のご夫婦が1組だけだった。
僕が手伝っていた頃に見かけたことのある常連客だ。
お客さんがいるので、僕はバックルートの扉に回る。
扉は換気を兼ねて半分ほど開いていた。
ドアノブに手を掛け、開けようとしたとき、中から声が聞こえてきた。
立ち聞きするつもりはなかったが、なんとなく立ち止まった。
「・・・・・辛いんです。あたしがとやかく言える立場じゃないんですけど・・・・・」
「でも、由香もそこは割り切って・・・・・って、言ってくれたよね?」
「でもね、絢子ママ。ママが絶対にしあわせに・・・・」
途切れ途切れだけど、大まかな内容はわかった。
ママが言う。
「そんなことは、最初からわかってるわ。でも、それを選んだの、わたしたち」
「でも・・・」
「ありがとう。由香が心配してくれて本当に嬉しいよ。でも、これは、わたしとコウの問題なのよ。
ふたりで決めたことなの。
大っぴらに人に話せることじゃないから、ずっと言わなかったし、コウもここには出来るだけ来させないようにしてきたの」
「でも、・・・、絢子ママたちだけの問題じゃないんです。
絢子ママ、あたし、バイトを始めた時から、ママのこと、慕ってました。
愛してました」
由香が嗚咽している。
とうとう、気持ちを打ち明けたんだ・・・。
由香もそしてママも。
僕は眩暈を感じた。
聞いてはいけない事を聞いてしまった。
でも、そこから立ち去る事が出来ない。
大きな波風もなく、平穏な時間が流れていた。
終業式のあと、僕は久しぶりに直接喫茶店に行った。
モーニングが終わって、少し落ち着いている時間だから、早めの昼ごはんでも食べさせてもらう予定。
店には、年配のご夫婦が1組だけだった。
僕が手伝っていた頃に見かけたことのある常連客だ。
お客さんがいるので、僕はバックルートの扉に回る。
扉は換気を兼ねて半分ほど開いていた。
ドアノブに手を掛け、開けようとしたとき、中から声が聞こえてきた。
立ち聞きするつもりはなかったが、なんとなく立ち止まった。
「・・・・・辛いんです。あたしがとやかく言える立場じゃないんですけど・・・・・」
「でも、由香もそこは割り切って・・・・・って、言ってくれたよね?」
「でもね、絢子ママ。ママが絶対にしあわせに・・・・」
途切れ途切れだけど、大まかな内容はわかった。
ママが言う。
「そんなことは、最初からわかってるわ。でも、それを選んだの、わたしたち」
「でも・・・」
「ありがとう。由香が心配してくれて本当に嬉しいよ。でも、これは、わたしとコウの問題なのよ。
ふたりで決めたことなの。
大っぴらに人に話せることじゃないから、ずっと言わなかったし、コウもここには出来るだけ来させないようにしてきたの」
「でも、・・・、絢子ママたちだけの問題じゃないんです。
絢子ママ、あたし、バイトを始めた時から、ママのこと、慕ってました。
愛してました」
由香が嗚咽している。
とうとう、気持ちを打ち明けたんだ・・・。
由香もそしてママも。
僕は眩暈を感じた。
聞いてはいけない事を聞いてしまった。
でも、そこから立ち去る事が出来ない。