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ママ、愛してる

第5章 瀬戸内

部屋に戻って、由香をベッドに寝かせる。

「ベッドに砂が付いちゃう」
由香がいうのを、

「汚れたら僕は床で寝るからいいよ。とにかく、夕食まではゆっくり休もう」

と、言って強引に寝かし付けた。

まだ、しんどさが残っていたらしく、すぐに由香は寝息をたてはじめた。

由香を寝かしつけ、ママに電話をした。

何事もなければ、明日、帰る前に一報を入れるだけの予定だったが、やはり由香が心配だった。

電話の向こうのママに、突然の家出?を詫び、
由香の状態を話した。

『そう、多分疲れていたんでしょうね。あの子、昨日は一睡もしてないはずだから』

「そうなんだ。本当にごめんね」

『わたしはいいのよ。でも、由香にはきちんと謝っておいてね』

「わかった」

電話を切って由香の様子を見ると、目を冷ましていた。

「ママに電話しておいた」

「そう。かえって心配かけちゃった」

「由香、本当にごめんね。僕のせいで」

由香はほほえんで、覗き込む僕の髪を撫でてくれた。

「ホントに困った弟」

僕の鼻を指先でつついて、笑った。

すっかり落ち着いた由香を見て、僕も一緒になって笑った。



由香はシャワーを浴びて、
2人でレストランに向かう。

もうすっかり、元気な由香が復活していた。


レストランの食事は、めちゃくちゃ豪華だった。

フレンチのコース料理に加えて、ヒラメの活け造りや伊勢海老、アワビステーキと、食べきれない程の料理が並んだ。

食後のコーヒーを飲んでいると、シェフがテーブルにやってきた。

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