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ママ、愛してる

第6章 交錯

けれど、僕には怒りの気持ちなんて、少しも沸いてこなかった。

女性なら、力で負けて、望まない関係を結ばれてしまう事もあるだろう。

でも、逆はあり得ない。

昨日僕は、確かに由香を求めていた。
だから、結ばれたのだ。


由香の事が好きだ。

それが、愛なのかどうかはわからない。
でも、僕の身体は、由香を求めていた。


涙にくれる由香に、僕は言った。

「由香。昨日の事、ママに話さないか」


由香は激しく首を振った。

「それだけは、ダメ!そんなことをしたら、絢子ママがどうなるかわからない!
絢子ママに何かあったら、ホントにあたし、生きていけないよ!」


由香はそう言ったが、僕の心は既に決まっていた。

いくら隠しても、ママに隠しておおせるとは思わない。
今日は乗りきっても、いつかきっと知られてしまう。
それにママは、きっと赦してくれると思う。

僕の事も、由香の事も。

僕はとなりで嗚咽する由香の肩を抱いて、言った。


「由香。昨日の由香の言葉は本当かい。
僕の事、好きだって言った事。
僕はまだ高校生だから、この先どうなるかもわからない。由香は後二年で、卒業して社会に出ていく。それもわかった上で?」

「うん」

由香は頷いた。


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