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誓いのガーランド

第15章 花畑の来訪者 3

楓はそんな彼女に引き寄せられた。
立ち上がって、花実に近づいていく。体育座りの彼女を、すっぽりと後ろから包むように座った。

「いいの? 絵描かなくて」

「うん、少し休憩」

頭1つ分抜き出ている彼を見上げる。
花実は楓の胸に、背中と頭を預けて、無意識のうちによっかかった。
花実の体は、彼の温度を確かめるように、彼の胸に埋もれていった。

「体、もう俺に預けてるし」

「ふふ、ごめん。良い背もたれ」

「人のこと、背もたれ扱いして」

2人で窓の外を見つめながら、少しばかりじっとしていた。
ポツポツと雨の音と、お互いの呼吸の音しかしない。花実は目を閉じると口を開いた。

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