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誓いのガーランド

第16章 花畑の来訪者 4

「花実、ごめん、ごめんな、遅くなって」

心はまだ、恐怖に支配され、言葉が全く出てこない。楓のぬくもりだけが、いまはその心をようやく温めていく。
花実は震える声で楓に言った。

「……元彼が……来たんだ、ただいまって。わたしは待ってなかったし……もう随分前に、別れたの……わたしの他に彼女いるって言ったから」

楓がその話に、うんざりしたように息を吐く。

「警察に、届けていい?」

花実は頷いた。
もう2年も前に別れた男が、いまさら我が物顔で「ただいま」と言って帰ってくる。この正常じゃない状況に、手を打っておきたかった。

しばらくの間は、1人での外出を控えることになった。
モニター付きのインターフォンも取り付けた。

それから2週間の間は、永山は花実の前に姿を現すことはなく、花実の恐怖も徐々に薄れていった。

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