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誓いのガーランド

第18章 嵐のあとに 1

「こ、怖くて……楓だって、わかってるのに怖くて……震えるの……」

花実は震える自分の手を見つめながら、両手にたくさんの涙を落としていた。

「最後に……わたしの体に触れたのか……あいつなんて……堪らなく嫌なのに……だけど怖くて……」

花実はそう言いながら、手に落ちた涙を握りしめた。
悔しい、悔しい、悔しい……
悲しみの底から、苛立ちと悔しさがせりあがる。

「ごめんね、花実……守ってあげられなくて、ごめんね」

花実は俺を守ってくれたのに。

楓はそんな気持ちに苛まれながら、自分の無力が悔しかった。

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