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誓いのガーランド

第19章 嵐のあとに 2

花実が少しだけ、擦り寄って、楓との距離を詰める。彼女が手を伸ばせば届く範囲に、彼はいた。

花実は楓の方にゆっくりと手を伸ばす。
恐る恐るといった印象だった。その手は少しだけ、震えていた。
楓は、祈るように、その小さな手の行方を見ている。花実を怖がらせないようにと、息を止めるような思いだった。

その手は……

ゆっくりと……
でも、しっかり、楓の服の裾を掴んだ。

目の前で、大きな稲妻が、空を割く。
お互いの驚いたような顔が、光に照らされた。

間があって落っこちた雷の、酷い音の後に、2人はゆっくりと目を見合わせて笑った。


裾を掴む花実の手は、震えていた。
花実はそれを打ち消すかのように、さらに握った拳に力を込める。

負けない。

そんな言葉が、花実の声で伝わってくるようだった。

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