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誓いのガーランド

第20章 嵐のあとに 3

『元気そうだ。これ以上は近づけないけど』

楓からさらに追加でコメントがつく。
近づいたら、小さなくしゃみを繰り返す楓の姿が鮮明に想像できて、泣きながら笑った。
花実はその小さな香箱座りの彼だけで、充分だった。何も変わっていない。

『よかった』

花実は思いのほか涙が途切れなくて、画面に落っこちるもんだから、その4文字を打つのにだいぶ時間がかかった。
花実はスマホを胸に抱きしめた。ぎゅっと、その画面の中の小さな世界を胸に収める。

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