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誓いのガーランド

第20章 嵐のあとに 3

会いに行きたいな。

気がつけば、そんな気持ちが花実の中に芽生えていた。
自分から外に出たいと思ったのは、事件があってから初めての事だった。
湧き上がった気持ちに、自分でも驚きを隠せない。
これまで1度も、そんなことを思ったことがなかった。家にいる限り、これ以上怖い思いをすることはない。そう思って、ずっと家に籠っていた。

今日、楓が帰ってきたら、言ってみよう。

花実は、そんな弾むような気持ちを久しぶりに感じながら、スマホをテーブルに置いた。
袖でそっと涙を拭うと、お昼ご飯の続きを再開するために、箸を手に取る。
ご飯を口に入れると、いつもより、はっきりと味がわかる気がした。

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