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誓いのガーランド

第20章 嵐のあとに 3


「だめじゃないよ……嬉しい」

ぱっと、花実も驚いた表情で顔を上げた。
その途端に、楓の心に、じんわりと喜びが湧き上がる。

花実が外に出られる日が来るかもしれない……。
自分から外に出たいと言った。
動機はなんであれ、また外に出られるようになるチャンスだった。

楓は、さらに言葉を続ける。

「一緒に行こう」

まっすぐに、花実を見つめた。

「いいの?」

花実が顔を上げて、楓の目を見つめ返す。

「悪いわけない。外に出たいって、思ってくれるのを、ずっと待ってた」

花実の大きく見開いた目に、涙が溜まる。

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