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誓いのガーランド

第20章 嵐のあとに 3

楓は、ずっと気長に、3か月も待っててくれた。
その間、家から出られなくて塞ぎ込む花実を、どんな気持ちで、毎日、目にしてきたのだろうか。
……その度に、楓は何度、自分のことを責めただろうか。
いっぱい、いっぱい待たせてしまった。
楓はもう、たくさん傷ついている。
あの日から、影でたくさん、傷つけられていた人間なのだ。

花実は、つらいのは自分だけではなかったのだと、楓の心に自分の心を重ねた。
それでも待っててくれたことは、本当に嬉しかった。

「猫の毛、いっぱいつけて帰っちゃうかもよ……」

花実は嬉しい気持ちとは裏腹に、意地悪なことを言ってしまう。いっぱいに溜めた涙が素直な気持ちを表すように、こぼれ落ちた。

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