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誓いのガーランド

第20章 嵐のあとに 3

「いいよ。花実と一緒に外に出られるだけで、俺は嬉しい。それと、今日さ、初めてあのまん丸の猫を見たんだけれど、あの子と花実がいつもどんな風に触れ合っていたのか、俺も見てみたいんだよね」

楓は満面の笑みを浮かべて、そこに佇んでいた。花実が不安にならないように、言葉を続ける。
楓のその優しさに、花実は気づいていた。
前を向けば、いつでもそうやって、楓はそこにいてくれる。
花実にとって、それは何よりも心強いことだった。

「ねぇ、楓」

たくさんの苦しさから楓の気持ちを解き放したいと思った。こんな言葉では、楽にならないかもしれない。
けれど、少しでも楓の気持ちを軽くできるなら。
そう思って、花実はずっとずっと思っていたことを口にした。

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