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ドアを開ける。

こんなにも単純なことですら、今の花実にはできない。花実は、できない自分に言葉を失う。
それによって、想像以上に、自分の心があの出来事に支配されていることを、嫌でも知ることになる。

楓がドアを開ければ早い話だったのだが、花実はそれを嫌がった。自分で全てを克服したいと強く思っていたからだ。

『かわいそうな運命に身を任せることはしない』

あの日、花実が言った、強い意志の言葉だ。
花実はその運命を、自分の手で覆したかったのだ。

そうとなれば、楓は花実に全力で協力するまでだ。楓は次の作戦にでる。