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誓いのガーランド

第22章 嵐のあとに 5

一歩、前へ。

夏の日差しに、その体を晒す。
午前中の昇りきらない太陽は、花実に手加減しているようだった。

「楓……」

振り向くと、楓はにっこりと笑っていた。
その姿が目に入るだけで安心する。

「頑張ったね、花実。少しだけ、散歩してみる?」

思ったより怯えた表情のない花実に、楓はそう言った。

もう怖くない。
花実は、頷く代わりに、もう一歩前へ進んだ。

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