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誓いのガーランド

第26章 ひかりの輪 4

本物の花冠だった。
クローバーの中には、まだ咲いていたシロツメクサが少しだけ混じっている。
あの時みたいに、ネクタイじゃない。
花実はその輪っかにそっと触れた。壊れないように、壊さないように、そっと触ってみる。
草の柔らかい感触が、繊細だった。

「動物たちの間では、これで誓いをたてるんだ」

ジョセフの言葉を、楓の声がなぞる。

「花実、ふたりで幸せになろう」

そして、今度こそ、エマではない。
それは花実に向けられた言葉だった。
楓はその後に、自分の言葉を付け加えた。

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