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誓いのガーランド

第6章 繋がる輪 5


「あ、お、おはよう。あのさ、今日……お昼、時間ある? ちょっと聞きたいことがあるから、一緒に食べられるかなって思って」

戸惑いながら、一息に話し終えた花実は、角村に緊張がバレないように、長くゆっくり息を吸った。

角村は、目を見開いていたが、直ぐにいつもの顔に戻って言った。

「ん〜、すみません。昼は外回りが長引くと思うから、休憩ズレます。帰りはどうですか? ……終わった方が先に、駅前の喫茶店に入って、待っているのでも良ければ」

角村は、目を細めて笑顔で言う。
笑うと、柔らかい印象が前に出る。

「それで大丈夫! ありがとう。じゃあ、仕事終わりに、駅前の喫茶店で。あの……私、残業で遅くなったらごめんね」

花実は約束を復唱する。花実が先に謝ったのは、どちらかというと自分が約束に遅れる確率が高いからだ。

「大丈夫です。待ちます」

彼のその短い返答を聞き終えた花実は、ほっと息をつき、再度お礼を伝えると、お手洗いへ急いだ。

いつも定時で帰る角村が、定時後の提案をしてきたのが意外だった。

花実は、今日は急いで帰らなくても良いのかな? と考えてみたが、角村からの提案だったので、そのままのむことにした。

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