誓いのガーランド
第7章 繋がる輪 6
「……俺も、知ってます。その漫画。好きで。大事にしていて」
花実はガバッと顔を上げた。
涙が出るほど嬉しかった。
興奮して、心臓がどきどきする。
考えるより先に口が動いて、話を続けた。
「わたし、『ガーランド』の繊細な絵が好きで。もう何度も読んでる。あ、なんかそう言われると引かれちゃうかな、……その、そういうシーンも多いし」
伏し目がちにそう口にした。
角村は、さっきより強い眼差しで、しっかり花実を見つめていた。
「引かない。好きな作品なんだから」
角村からは、さっきまで出ていた敬語がなくなっていた。
花実は角村のプライベートに踏み込めた気がして、少しだけ嬉しかった。
「それでね、最後のシーンが本当に好きで。素敵で。花冠を授けられたエマがかわいくて」
「うん、俺もその場面は……よく描けてたなって」
角村は、そう言って話しを聴きながら、少し照れたようにうつむいて頭をかいた。
花実はつい早口になってしまう自分に気づいて、少し恥ずかしかった。
花実はココアを口に含んで気分を落ち着かせる。