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誓いのガーランド

第7章 繋がる輪 6


「俺もティーンズラブは、女性向けだから、詳しくないんだけれどさ。『ガーランド』が好きなら……」

そう言うと、彼はいくつかおすすめの漫画を上げた。
花実は熱心に頷きながら前のめりになる。
彼が一通り話したあとに、少し冷静な顔をする。

「おすすめ上げられるの……ちょっと引いた?」

恐る恐る聞く彼に、
花実は首をブンブンと横に振りながら、



「引かない!」



と笑って答えた。

その後も漫画の話や本の話をした。
ふと時計を見ると、1時間程経っていた。

喫茶店で飲み物1杯で長居するのも悪いな。

花実がそう思った時、角村も同じように考えていた。

どちらからともなく、そのまま居酒屋に誘って、酒を飲みながら更に話し込んだ。

お互い、強く酔うほどではなかったが、お酒が入ると話にも熱が入る。
花実は角村とこうして話す時間が、とても気持ちよく感じていた。




午後9時を過ぎた頃、同じ電車に乗って帰った。

花実は名残惜しい気持ちもあったので、また近いうちに誘おうと心に決めていた。

もう、以前のような緊張感はなかった。

花実の最寄り駅の方が早く止まる。

「角村くん、時間作ってくれて、ありがとう。話ができて楽しかった」

「うん、また明日」

お互いに挨拶をして、花実は小さく手を振りながら電車を降りた。


充実した時間だった。


そんなに長くは話していないのに、花実はとても満たされた気分になっていた。

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