テキストサイズ

誓いのガーランド

第2章 繋がる輪 1


もう何度も読んだ。
繰り返し、何度も何度も。花実は、その度にこの漫画に惹かれていた。

「あ〜、やっぱり良い」

部屋のベッドに潜り込み、ひとりでに呟いていた。特に、この最後の場面が花実のお気に入りである。

『ガーランド』は、漫画家・赤葉紅(あかば こう)の処女作だ。
赤葉は今や青年誌で連載されて、注目を浴びるほど人気漫画の作家をしているが、売れる前、小さな出版社でティーンズラブの漫画も描いていた。

その1冊が、『ガーランド』。
花実の大好きな作品だ。赤ずきんと狼を彷彿とさせる設定で、いわゆる人外モノに分類される話だった。
だけれど、他の人外ものの作品とはひと味違うと、花実は感じている。

『ガーランド』の絵は繊細で、とても綺麗だ。
柔らかい印象の絵でも、主人公達の感情がとめどなく溢れて伝わってくる。
微妙な表情の出し方や、言葉の選び方にもセンスがあると思った。
濡れ場もとても色っぽいのはもちろんだが、誇張した表現は一切使っていない。

それが逆に気持ちをそそられる。

2人の表情や仕草が全て映像で伝わってくるかのような、そんな柔軟さもあった。

これだけの絵のうまさがあったから、今話題の『終末のエクメーネ』も、一気に大ヒット作に化けたのだろう。
花実は赤葉の他の作品も好きだが、やはり一番は『ガーランド』だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ