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誓いのガーランド

第3章 繋がる輪 2


宇吹 花実(うすい はなみ)は、会社へ行く時、いつも30分以上のゆとりを持って、家を出る。

今日は天気もいいし、日差しも暖かい。

もうすぐ、4月になろうとしている。
今日は、あの子も日向ぼっこをしているかもしれないな。と、花実は考えながら低いヒールの靴でリズム良く歩く。


会社の最寄り駅で降りると、真っ直ぐには会社へ行かず、近くの神社に寄り道をする。
神社は、ビルが連立する街の一角に、ひっそりと木々に囲まれて建っていた。

鳥居をくぐってキョロキョロとしていると、いちばん大きな陽だまりの中で、気持ちよさそうに目を瞑り、香箱座りをする彼を見つけた。

「おーい」

花実が声をかけると、その声に反応するように、
「にゃー」と間延びした声が返ってきた。

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