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花実は角村の胸の中でゆっくりと状況を噛み砕いた。彼はそんな花実をすっぽり包む。

｢そう……いうことに、なるね。ってか、いちばん大好きって、さすがに照れるな｣

照れくさそうに彼は頭を掻く。
花実は、そんな彼の仕草を見て、徐々に彼が作家であることを実感する。
心の底から、ふつふつと喜びみたいな感情が湧き上がる。

｢宇吹さんが、『ガーランド』めちゃくちゃ褒めてくれたとき、本当に嬉しくて。俺さ、生の読者の声に当たったの、初めてで。……好きになった人が、俺の漫画も好いててくれてたの、正直、めちゃくちゃ舞い上がった｣

角村が、噛み締めるように言葉を紡ぐ。

｢好きになった人｣というフレーズが新鮮で、花実の胸はときめいた。久しぶりに、恋愛でわくわくするような、乙女の感覚だ。

『ガーランド』の作者が目の前にいる……
ということは。