ユリの花咲く
第2章 瑞祥苑
「遥さん、朝の準備はバッチリですよ!後は、食パン焼いて、コーヒー淹れるだけですから!」
キッチンで朝の仕込みをしている拓也が、満面の笑顔で遥に言う。
「サンキュー!拓也」
遥が投げキスを送って、更衣室に消えた。
「ねえ、有紀さん。遥さんって、かわいいっすよねえ」
拓也は、夢見るような目で私に言う。
もちろん、私と遥の関係は知らないから、なんだけど・・・。
それにしても・・・、男って・・・
と私は思う。
拓也は3年前、遥より半年ほど早く入職してきた。
「有紀さんって、キレイですね!オレ、有紀さんみたいな人に指導してもらえて、幸せっす!」
そう言って、金魚のフンみたいに私の後を付いてきていたクセに、
遥が入ってきたとたんに、彼女の虜になった。
まあ、私だって、下手したら息子でもおかしくないほど年下の拓也の話を、本気にしていた訳じゃないけど、
あまりの変わり身の早さに
『やっぱりコイツも男なんだなぁ』と、別れた夫を思い出した。
だからと言って、拓也に嫌な感情を抱いた訳ではない。
うるさい位に、『有紀さん、有紀さん』と頼ってくる拓也を可愛い弟みたいに思ってたし、
佐久間さんや宮沢施設長も、何かにつけて面倒を見てやっていた。
だけど、
『遥は渡さないからね』
私は心の中で呟いていた。
「有紀さん、拓也、ありがとう!後はあたしが引き受けました!お疲れ様でした」
簡単に引き継ぎを終えて、遥が言った。
「じゃあ早見君、先に着替えて。私は面接があるから」
拓也を先に更衣室に行かせると、遥がこっそり手を握ってきた。
「有紀、あたし、寂しいな」
利用者さんが、見ていないのを確かめて、私は遥に軽くキスをする。
「また、夜食作って来てあげるから。ね?」
「うん!有紀、大好き!」
しがみつく遥を、ギュッと抱き締めた。
キッチンで朝の仕込みをしている拓也が、満面の笑顔で遥に言う。
「サンキュー!拓也」
遥が投げキスを送って、更衣室に消えた。
「ねえ、有紀さん。遥さんって、かわいいっすよねえ」
拓也は、夢見るような目で私に言う。
もちろん、私と遥の関係は知らないから、なんだけど・・・。
それにしても・・・、男って・・・
と私は思う。
拓也は3年前、遥より半年ほど早く入職してきた。
「有紀さんって、キレイですね!オレ、有紀さんみたいな人に指導してもらえて、幸せっす!」
そう言って、金魚のフンみたいに私の後を付いてきていたクセに、
遥が入ってきたとたんに、彼女の虜になった。
まあ、私だって、下手したら息子でもおかしくないほど年下の拓也の話を、本気にしていた訳じゃないけど、
あまりの変わり身の早さに
『やっぱりコイツも男なんだなぁ』と、別れた夫を思い出した。
だからと言って、拓也に嫌な感情を抱いた訳ではない。
うるさい位に、『有紀さん、有紀さん』と頼ってくる拓也を可愛い弟みたいに思ってたし、
佐久間さんや宮沢施設長も、何かにつけて面倒を見てやっていた。
だけど、
『遥は渡さないからね』
私は心の中で呟いていた。
「有紀さん、拓也、ありがとう!後はあたしが引き受けました!お疲れ様でした」
簡単に引き継ぎを終えて、遥が言った。
「じゃあ早見君、先に着替えて。私は面接があるから」
拓也を先に更衣室に行かせると、遥がこっそり手を握ってきた。
「有紀、あたし、寂しいな」
利用者さんが、見ていないのを確かめて、私は遥に軽くキスをする。
「また、夜食作って来てあげるから。ね?」
「うん!有紀、大好き!」
しがみつく遥を、ギュッと抱き締めた。