ユリの花咲く
第2章 瑞祥苑
私は最初、週に2回位の夜勤は、何とも思わなかった。
夜勤明けの日は、朝に仕事を終えるとそのまま休んで、翌日が公休のパターンだから、ほぼ、連休に近い。
プライベートの時間もまあまあ取れるし、不満は無かった。
けれど、遥と暮らし始めてからは、少し苦痛に感じるようになっていた。
週2日が夜勤ということは、ふたり合わせて4日は、夜を一緒に過ごせないのだ。
始めの頃は、仕事だし仕方がないと諦めていた。
ところが私が夜勤をしていたある日、夜9時ごろになって、遥が泣きながら瑞祥苑にやってきたのだ。
「どうしたの!何かあったの?」
私が驚いて聞くと、
「だってぇ、有紀がいないと寂しいんだもん!」
そう言って、抱きついて来たのだった。
「バカねえ、自転車でたった15分だよ。遠くに行く訳じゃないのに」
そう言いながら、抱き締めた。
「だって、有紀の声も聞こえないし、温もりも感じないんだよ」
その思いは、同じだった。
ただ、遥より長く生きてきた分、自分を誤魔化すことに長けていただけ。
「私だって、遥がいないと、どんなに寂しいか・・・。
じゃあ、こうしようか。
どちらかが夜勤の時は、利用者さんが寝た頃にこっそりここに来て、2人で過ごすようにしようか?
家と同じようにはいかないけど、
晩御飯一緒に食べて、いろいろお話して、
夜勤じゃない方は、更衣室にお布団を敷いて寝たらいい」
遥は顔を輝かせて、賛成した。
佐久間さんが、出勤する前に帰るようにすれば、誰にも知られることはない。
もし、利用者さんに見られても、忘れ物を取りに来たとでも言って、適当に誤魔化せる。
「じゃあ、もう少ししたら、更衣室にお布団敷いて休むんだよ。
寂しくなっても、私はすぐそばにいるんだからね」
私は言った。
それからは、どちらかの夜勤の時には片方がこっそりとやってきて、2人で夜を過ごすようになった。
それは今のところ、誰にも知られてはいないようだ。
夜勤明けの日は、朝に仕事を終えるとそのまま休んで、翌日が公休のパターンだから、ほぼ、連休に近い。
プライベートの時間もまあまあ取れるし、不満は無かった。
けれど、遥と暮らし始めてからは、少し苦痛に感じるようになっていた。
週2日が夜勤ということは、ふたり合わせて4日は、夜を一緒に過ごせないのだ。
始めの頃は、仕事だし仕方がないと諦めていた。
ところが私が夜勤をしていたある日、夜9時ごろになって、遥が泣きながら瑞祥苑にやってきたのだ。
「どうしたの!何かあったの?」
私が驚いて聞くと、
「だってぇ、有紀がいないと寂しいんだもん!」
そう言って、抱きついて来たのだった。
「バカねえ、自転車でたった15分だよ。遠くに行く訳じゃないのに」
そう言いながら、抱き締めた。
「だって、有紀の声も聞こえないし、温もりも感じないんだよ」
その思いは、同じだった。
ただ、遥より長く生きてきた分、自分を誤魔化すことに長けていただけ。
「私だって、遥がいないと、どんなに寂しいか・・・。
じゃあ、こうしようか。
どちらかが夜勤の時は、利用者さんが寝た頃にこっそりここに来て、2人で過ごすようにしようか?
家と同じようにはいかないけど、
晩御飯一緒に食べて、いろいろお話して、
夜勤じゃない方は、更衣室にお布団を敷いて寝たらいい」
遥は顔を輝かせて、賛成した。
佐久間さんが、出勤する前に帰るようにすれば、誰にも知られることはない。
もし、利用者さんに見られても、忘れ物を取りに来たとでも言って、適当に誤魔化せる。
「じゃあ、もう少ししたら、更衣室にお布団敷いて休むんだよ。
寂しくなっても、私はすぐそばにいるんだからね」
私は言った。
それからは、どちらかの夜勤の時には片方がこっそりとやってきて、2人で夜を過ごすようになった。
それは今のところ、誰にも知られてはいないようだ。