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ユリの花咲く

第3章 新人がきた

黒木と共に脱衣室に行くと、潤子は既に下着姿になっていた。

黒木が一緒なのを見て、ブラジャーを外しながら潤子が言う。

「あら、今日は拓也君じゃないのね?」

そう言いながら、また妖艶な笑顔を浮かべて、裸の乳房を両手で寄せ、谷間を作って誇示して見せる。

「さあ、遊んでないで、早く入りましょう」

私が促すと、潤子はちょっと不満そうな顔でショーツを脱ぎ、浴室に入る。

「じゃあ、潤子さん。一通り終わったら、声をかけてね」

「はいよ!」

浴室の扉を閉めて、脱衣室で黒木に説明する。

「彼女は、自分で全部出来るから、時々、声をかけたり、少し扉を開けて様子を見ていればいいわ。
あとは、浴槽に浸かると、なかなか上がらないから、5分位を目安にして、上がるようにいえばいいの。
あんまり長湯させると、脱水状態になったり、のぼせたりするからね」

私は、扉を少し開けて、黒木に覗かせる。

「今、髪を洗ってるでしょ?」

「は、はい」

「次は身体を洗うから、シャンプーが終わった頃に声掛けしてみて。『江角さん、大丈夫ですか?』ってね」

黒木さんが声を掛けると

『大丈夫だよ』

と返事があった。

「慣れてくると、水の音で、何をしてるかわかるようになるからね。
入浴介助は、ひとりひとりにパターンがあるから、なるべくそれに合わせて介助してあげてね。

山田さんと、江角さん以外は、基本的に、私たちが身体を洗ってあげないとダメだから。

まあ、何回かやれば、すぐに覚えられるわ」

その時、浴室から声がした。

「洗い終わったから、お湯に浸かるよ」

「はい!わかりました。黒木さん、見ててね」

私は浴室に入って、潤子の腕をとり、浴槽の回りに取り付けられた手すりを握らせる。

足を滑らせて転倒しないように注意を促しながら、浴槽に座らせた。

「じゃあ、しばらくしたら声をかけますね」

潤子に言って、浴室の扉を閉めた。

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