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ユリの花咲く

第3章 新人がきた

「い、いや、な、泣くな、遥ちゃん。
俺、泊まっていくから」

遥は満面の笑顔で日高の手をとり、指切りをする。

「指切りゲンマン、嘘付いたら針千本の~ます!」

日高さんは困惑しながらも、笑顔になり、ベッドに寝転ぶ。

連泊している他の3人は、着替えが終わって早々に寝息を立てている。

「じゃあ日高さん、電気消すよ」

「ああ」

遥が電気を消して、豆球だけにした。

とりあえず、出だしは好調だ。

豆球の薄明かりの中で、私は遥を抱き締めて、深いキスをした。

長いキスのあと、遥はトロンとした目で言う。

「ああ!もうダメ。これ以上キスしたら、止められない」

私だってそうだ。
だって、もう、潤ってきているんだから。

「じゃあ、一旦帰るからね。また、後でね」

私が言うと、
遥は甘えた声で言った。

「うん、お疲れさま。あのね、有紀。今日はお弁当要らないから、早く来てほしい・・・」

「いいよ、わかってるから。コンビニでケーキでも買ってきてあげるから」

「うん!」

遥が抱きついてきた。



私は、マンションに帰りシャワーを浴びて、私服に着替えた。

途中、コンビニでケーキとお弁当を買って、
再び瑞祥苑に戻った。

フロアーは静かだった。
問題の日高さんは、イビキをかいて眠っている。

遥は、ソファーに座って、うたた寝をしていた。

脚を組み、テーブルに突っ伏して寝ている姿も、私には可愛く見える。

なるべく音を立てないように、隣に座ると、
遥が目を覚ました。

「有紀!早かったね」

「日高さんが起きてないか、ちょっと心配でね」

「ありがとう!」

遥が子犬のように、膝に頭をのせた。

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