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ユリの花咲く

第3章 新人がきた

「とにかく、晩ごはんにしよう。コンビニのお弁当だけど、買ってきたよ。あと、ケーキも」

遥は頭をあげて、
「うん!食べる食べる!」
遥は立ち上がって、キッチンでお茶の用意をする。

「遥!静かに」

私は人差し指を唇に当てて、注意した。

遥がペロッっと、舌を出した。

ソファーに並んで、コンビニの袋からパックを取り出す。
「電子レンジって結構うるさいから、今日はサラダ巻きにしたよ」

「有紀!さすが。あたし、レンジのチンって音で、利用者さんを起こしちゃったことある」

「私もよ。アイツ」
私が日高さんを指差した。

「ははっ!あたしも!」

私たちは、出来る限り音を立てないように、サラダ巻きを食べた。
佐久間さんが作って帰った晩ごはんも、2人で平らげた。

「じゃ、おまちかねの・・・」

私がケーキを開けようとした時、フロアーで寝ていた日高さんが声をあげた。

「むううん!ゲホッ!ゲホッ!」

「ヤバい!」

私たちは完全に動きを止め、息を殺した。

日高さんは、寝返りを打っただけで、再びイビキをかきはじめた。

「ラッキー!」

私たちは、顔を見合せ、声を出さずに笑った。

一人だったら苦痛でしかない夜勤が、遥と一緒ならこんなに楽しい。

買ってきたモンブランとチーズケーキを、お互いに食べさせあう。

「ねえ、有紀。黒木さん、どうだった?」

ケーキを食べながら、遥が聞く。

「うん、思ってたより早く戦力になりそうよ」

「ホントに?江角さん、大丈夫だった?」

「何とかね。おっぱい触らされてたけど」

「あははっ!そうなんだ。でも、拓也の時よりはマシか?」

「まあね。拓也はいきなり、股間を握られてたからねえ、フフッ!」

私は、拓也の焦った顔を思い出しながら、言う。

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