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ユリの花咲く

第3章 新人がきた

おやつが終わって、私は黒木に千鶴さんのオムツチェックを指示した。

「一度やってみましょうか。私も一緒にいますから、わからないところはもう一度説明しますからね」

「わかりました」

黒木は、お尻拭きや陰部洗浄ボトルなどの必要なモノを揃えた。

「じゃあ、森田さん。オムツを見ておきましょうか?」
黒木は千鶴さんに声を掛けた。

「え、ええ・・・・。でも、まだ大丈夫だと思うけど・・・」

千鶴さんは、珍しく拒否したそうな様子だ。

私はすかさずフォローに入る。

「そう?じゃあ、ちょっとこのまま見てみるね」

千鶴さんを前屈みにさせ、ズボンを少し引っ張る。
排便があれば、腰とズボンの隙間から、微かに便臭がするのだが、今は大丈夫のようだ。

私は耳元で、
「千鶴さん、ウンチは出てないみたいだけど、ちょっと確かめて見ましょうか?」
と、言う。

「そうかい?じゃあ、ちょっと見てもらおうかねえ」

「ありがとう。あのね、黒木さんは、まだ新人さんなのよ。いろいろ覚えないといけないから、ちょっと協力してね」

「そうだねえ。看護婦さんの注射も、何回もやらないと上手くならないからねぇ」

「ありがとう、じゃあ行きましょうか」

千鶴さんは頷いた。

私は、車椅子からベッドに移乗させるように、黒木に指示を出す。

「とにかく、ゆっくりね。足が車椅子に引っ掛からないように注意して!
寝かせる時もゆっくりよ。
千鶴さんが怖くないようにね!」

オムツをひろげると、排尿もなく、キレイなままだった。

「千鶴さん、ごめんね!出でなかったわ。
それじゃ黒木さん、もう一度オムツを元に戻してね。ギャザーを起こして、漏れないように注意して!」

黒木は、ほぼ私が教えた通りに、作業を終えた。

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