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ユリの花咲く

第4章 夜勤

それと前後して、黒木が個室から出てきた。

「終わりました」

「お疲れ様。
女性陣も、とりあえずベッドに入ったわ。
江角さんは、まだ、眠ってないみたいだけど」

時計を見ると、ちょうど8時を示していた。

「この後は、何を?」

黒木が訊ねる。

「後は朝まで見守り。夜中11時と3時になったら、幸枝さんを起こして、トイレに誘導。
リハビリパンツ穿いてるから、もし、失禁してても大丈夫だけど、朝まで濡れたパンツを穿かせてるのはかわいそうでしょう。
あと、個室で物音がしたら、覗いてみてね。
梅沢さんがトイレだったら、入口まで誘導してあげてね。
いつもと違う場所だから、転倒でもしたら大変だから。
山ちゃんなら、ほっといていいから。
あと、江角さんも要注意。
夜中に起き出して、裸になることもあるからね。
この前、見たよね?」

「は、はい。なかなか強烈でした」

黒木は、吃りながら言う。

「お布団の中でごそごそしてる時があるけど、その時は経過観察ね。起き出して来なければ、満足してまた眠るから」

私は、そう言いながら、会話のきわどさに少し顔が赤くなるのを覚えた。

恋愛感情は全くないが、やはり男性相手に、性的な話をするのは、
少し抵抗がある。

「じゃ、同時に2人起きたりしたら大変ですねえ。トイレ介助してる時に、誰かが動き出したり」

「だから、ゴールデンウィークは、2人態勢なのよ。みんな熟睡してくれたらいいんだけど、多分、そうはいかないわ」


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