ユリの花咲く
第4章 夜勤
黒木は、私の声で固まったまま、キッチンから動かない。
「大丈夫みたいね。多分、また眠ってるわ」
私が言うと、黒木は深呼吸をして言った。
「スゴいですねえ」
私は何がスゴいのかわからない。
黙って黒木を見つめる。
「まさか、こんなところで、するなんて」
「私も、最初は驚いたけど、抑え切れない人もいるのよねえ。
まあ、元気な証拠だと思って、あんまり気にしないようにはしてるけど。
私たちだって、将来、認知症になって、同じ事をしないとは限らないわよ。
理性が吹っ飛んでしまったら・・・」
私は言った。
「じゃ、私も食事を頂くね。何かあったら、遠慮しないですぐに呼んでね」
私は黒木に言って、フロアーを離れた。
食事を終えて、缶コーヒーを飲んでいると、
電話の着信が点滅する。
やっぱり、遥だった。
『もしもし、有紀。いま、平気かな?』
少し舌足らずの話し方が、私の気持ちを和ませる。
「大丈夫よ。ちょうど今、晩ごはん終わったところ。遥は?」
『何だか、一人だと食べる気にならなくて。
コンビニで買ったシュークリームは食べたけど。で、今日はどうなの?落ち着いてる?』
「うん。戸田さんも、わりと素直に寝てくれたし、
潤子さんは、さっき自分で逝って、また寝たみたいよ」
『そう。朝まで平穏だといいのにね』
遥は言った。
「さあ、どうかなあ?問題は、幸枝さんのトイレの時ね。何とか、みんな起きないでいてくれたらラッキーだけど」
『無事を祈る!
てか、有紀。あのね・・・』
遥が甘えた声になる。
「なあに?」
私は聞いた。
『やっぱり、有紀に逢いたい・・・。ダメ?』
今にも泣き出しそうな遥の声。
私の気持ちが揺れる。
「大丈夫みたいね。多分、また眠ってるわ」
私が言うと、黒木は深呼吸をして言った。
「スゴいですねえ」
私は何がスゴいのかわからない。
黙って黒木を見つめる。
「まさか、こんなところで、するなんて」
「私も、最初は驚いたけど、抑え切れない人もいるのよねえ。
まあ、元気な証拠だと思って、あんまり気にしないようにはしてるけど。
私たちだって、将来、認知症になって、同じ事をしないとは限らないわよ。
理性が吹っ飛んでしまったら・・・」
私は言った。
「じゃ、私も食事を頂くね。何かあったら、遠慮しないですぐに呼んでね」
私は黒木に言って、フロアーを離れた。
食事を終えて、缶コーヒーを飲んでいると、
電話の着信が点滅する。
やっぱり、遥だった。
『もしもし、有紀。いま、平気かな?』
少し舌足らずの話し方が、私の気持ちを和ませる。
「大丈夫よ。ちょうど今、晩ごはん終わったところ。遥は?」
『何だか、一人だと食べる気にならなくて。
コンビニで買ったシュークリームは食べたけど。で、今日はどうなの?落ち着いてる?』
「うん。戸田さんも、わりと素直に寝てくれたし、
潤子さんは、さっき自分で逝って、また寝たみたいよ」
『そう。朝まで平穏だといいのにね』
遥は言った。
「さあ、どうかなあ?問題は、幸枝さんのトイレの時ね。何とか、みんな起きないでいてくれたらラッキーだけど」
『無事を祈る!
てか、有紀。あのね・・・』
遥が甘えた声になる。
「なあに?」
私は聞いた。
『やっぱり、有紀に逢いたい・・・。ダメ?』
今にも泣き出しそうな遥の声。
私の気持ちが揺れる。