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ユリの花咲く

第5章 救急搬送

黒木が払おうとするのを止めて、3人で割り勘にして、支払いを済ませた。

居酒屋から出ると、遥が私にしなだれ掛かって来る。

「有紀さ~ん、あたし、ちょっと酔っぱらってま~す!」

「大丈夫?遥ちゃん?」

黒木が気にして訊ねる。

「大丈夫よ。いつもこうだから、そこの公園で休ませてから私が送って行くわ」

私は言った。
多分、バレバレの嘘だけど、黒木は納得したような顔で言う。
「それじゃ、僕は電車なんで、ここで失礼します」

踵を返して、黒木は駅に向かって歩いて行った。

姿が見えなくなって、遥を見ると、
肩を震わせて泣いていた。

「馬鹿ねえ。なんで泣くの?」

私は、わかっていて、遥に訊ねた。

「だって、黒木さん、有紀のこと狙ってるんだもん!」

肩に顔を埋めて、遥は声をあげて泣き出した。

私は、遥の顎を持ち上げて、軽くキスをした。「馬鹿!私は遥を裏切らないって、約束したでしょ?」

「うん。でもね、あたし、有紀が好きで好きで、たまらないの!
迷惑?」

「ううん。うれしいよ」

もう一度キスをすると、遥は泣くのをやめた。

「えへっ!じゃあ、今からラーメン食べに行こう!居酒屋の締めのラーメン、食べ損ねたから」

「泣くのか食べるのか、どっちかにしなよ!」

私は遥の髪をくしゃくしゃにしながら、言った。

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