ユリの花咲く
第5章 救急搬送
田辺さんが連泊するようになって、最初のうちは、特に大きな問題もなく過ごしてくれた。
一日に2時間は、車椅子に座りレクリエーションにも参加した。
手が不自由なため、自分では何も出来ないのだが、カラオケなどは他の人に合わせて口ずさんだりして、笑顔で過ごしてくれる。
食事を吐く事もなく、予想外に楽勝だと思われた。
しかし、3日目の朝から、様相が変化してきた。
その日、拓也が夜勤で、朝食を準備して田辺さんの元に行った。
ベッドから車椅子に移譲し、
「田辺さん、朝ごはん出来ましたよ」
と、声を掛けても、表情は変わらない。
スプーンー近付けても、そっぽを向いて、口を開こうともしない。
「少しでも食べましょうよ。お薬も飲まないといけないし」
拓也の声かけに、ようやく口を開いて、スプーンの上のものを食べてくれた、と、思った瞬間、
盛大にそれを吐き出した。
こぼしたというのではない。
スイカの種を飛ばすように、口をすぼめてあちらこちらに吹き出してしまうのだ。
「何するんですか!」
吐き出したものを浴びながらも、拓也は冷静に介助を続けるが、今度はエンシュア(栄養補助飲料)を口に含んだと思えば、口を開いて衣類まで汚してしまう。
拓也は怒りで、手が震えてきた。
しかし、何とか理性でそれを押さえると、佐久間さんに助けを求めた。
それは、ある意味正解だったと思う。
介護スキルの違いは、確かにある。
けれども、お互いに感情の波があって、昨日は何の問題もなかったことが、今日は全く受け入れてもらえない時が、往々にしてあるのだ。
一日に2時間は、車椅子に座りレクリエーションにも参加した。
手が不自由なため、自分では何も出来ないのだが、カラオケなどは他の人に合わせて口ずさんだりして、笑顔で過ごしてくれる。
食事を吐く事もなく、予想外に楽勝だと思われた。
しかし、3日目の朝から、様相が変化してきた。
その日、拓也が夜勤で、朝食を準備して田辺さんの元に行った。
ベッドから車椅子に移譲し、
「田辺さん、朝ごはん出来ましたよ」
と、声を掛けても、表情は変わらない。
スプーンー近付けても、そっぽを向いて、口を開こうともしない。
「少しでも食べましょうよ。お薬も飲まないといけないし」
拓也の声かけに、ようやく口を開いて、スプーンの上のものを食べてくれた、と、思った瞬間、
盛大にそれを吐き出した。
こぼしたというのではない。
スイカの種を飛ばすように、口をすぼめてあちらこちらに吹き出してしまうのだ。
「何するんですか!」
吐き出したものを浴びながらも、拓也は冷静に介助を続けるが、今度はエンシュア(栄養補助飲料)を口に含んだと思えば、口を開いて衣類まで汚してしまう。
拓也は怒りで、手が震えてきた。
しかし、何とか理性でそれを押さえると、佐久間さんに助けを求めた。
それは、ある意味正解だったと思う。
介護スキルの違いは、確かにある。
けれども、お互いに感情の波があって、昨日は何の問題もなかったことが、今日は全く受け入れてもらえない時が、往々にしてあるのだ。