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「わかっていただければ、私は大丈夫です」

そう言って、電話を切った。

「有紀ちゃん、よく頑張ったね。
それと、ビンタしたこと、ごめんね」

宮沢施設長は、言った。

「いいえ！ビンタされて、私、正気に帰りました。
あれがなければ、オタオタして、何をしてたかわかりません。ありがとうございました」

私は心から言った。

「じゃあ、少し早いけど、今日はもう帰りなさい」

「でも、引き継ぎが・・・」

「ははっ！そんなのとっくに遥が済ませてるわよ。さあ、帰りなさい。遥が待ってるよ」


「！」

宮沢施設長は、私と遥との事をしってる？

でも、それを確認する勇気は、私にはなかった。

私はフロアーに行き、スタッフ達に挨拶をする。

「お先に失礼します。あと、よろしくお願いします」

「お疲れさま！」
口々に見送ってくれる。

「遥ちゃんももういいよ。帰って休みなよ」

佐久間さんが言った。

「それじゃ、すみません」

遥はペコリと頭をさげた。


二人で並んで、自転車を走らせる。

「遥！今日はありがとう！」

「いいよ！あたしも有紀の役に立ててうれしい！」

「ねえ、カフェに寄って帰らない。私がおごるから」

私は、遥に向かって、大声で言った。

「うん。行く！タマゴサンド以外でもいい？」

「いいよ！ローストビーフサンドでも！」

髪をなびかせてスピードを上げる遥。

「大好きだよ！」

私は叫びながら、私は遥の自転車を、追い越した。