優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第6章 メゾンボナール305号室
「それはね、優が選んだ。意外とセンス良いよね」
猫好きなのは、わたしと井田先生だけではなさそうだ。
わたしは満面の笑みで澤北先生を見る。
「……意外と、は余計だ」
そう言うと、澤北先生はそっぽを向いて、キッチンの方へ逃げていく。それが何となく、猫っぽくて、わたしと井田先生は顔を見合わせて笑った。
帰ってきた時の緊張感はすっかりなくなって、わたしもゆるゆるとした笑顔のまま、その猫を見つめる。
「家に帰ってきたら、玄関の扉にかけるところあるから、そこにかけてね。……いま、かけてきて」
井田先生が浮かべた笑みが、何となくイタズラっぽくて、首を傾げた。
玄関の扉に戻ると、その理由がすぐにわかる。
もうすでに、猫のチャームが2匹いた。
三毛猫と茶トラ。それから、わたしのハチワレ。
3人でお揃いになっていることに、軽く衝撃を受ける。
「えー! 」
早足で井田先生のもとに戻る。
「かわいい、全部澤北先生が選んだんですか……!」
目を輝かせて井田先生に詰め寄ると、サラッとこう言った。
「そうだよ、俺が三毛猫で、優が茶トラなんだって」
キッチンからお茶を入れた澤北先生が戻って来た。ぶっきらぼうに訂正する。
「三毛猫選んだの、お前だろ。嘘をつくな」
井田先生は直ぐにイタズラがバレた時の顔をした。
そのお茶目な顔は、とても30代後半とは思えず、目眩がしそうになる。
猫好きなのは、わたしと井田先生だけではなさそうだ。
わたしは満面の笑みで澤北先生を見る。
「……意外と、は余計だ」
そう言うと、澤北先生はそっぽを向いて、キッチンの方へ逃げていく。それが何となく、猫っぽくて、わたしと井田先生は顔を見合わせて笑った。
帰ってきた時の緊張感はすっかりなくなって、わたしもゆるゆるとした笑顔のまま、その猫を見つめる。
「家に帰ってきたら、玄関の扉にかけるところあるから、そこにかけてね。……いま、かけてきて」
井田先生が浮かべた笑みが、何となくイタズラっぽくて、首を傾げた。
玄関の扉に戻ると、その理由がすぐにわかる。
もうすでに、猫のチャームが2匹いた。
三毛猫と茶トラ。それから、わたしのハチワレ。
3人でお揃いになっていることに、軽く衝撃を受ける。
「えー! 」
早足で井田先生のもとに戻る。
「かわいい、全部澤北先生が選んだんですか……!」
目を輝かせて井田先生に詰め寄ると、サラッとこう言った。
「そうだよ、俺が三毛猫で、優が茶トラなんだって」
キッチンからお茶を入れた澤北先生が戻って来た。ぶっきらぼうに訂正する。
「三毛猫選んだの、お前だろ。嘘をつくな」
井田先生は直ぐにイタズラがバレた時の顔をした。
そのお茶目な顔は、とても30代後半とは思えず、目眩がしそうになる。