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｢じゃあ、お待ちかね。咲の部屋、案内するね｣

そう言って、リビングから続く2枚のドアのうち、奥のドアを開ける。
そこがわたしの部屋だった。
室内はブラウンで統一されていて、ベッドと机、空っぽの本棚が置いてあった。
大人っぽくて、わたしには似合わない部屋かもしれないけれど、落ち着いた雰囲気がすごく良かった。

｢ここが咲の部屋ね。部屋にあるものは、申し訳ないけれど、俺のお下がり｣

わたしはぶんぶんと首を振った。
申し訳ないだなんて、1部屋用意してもらって、こっちが申し訳ないくらいだ。

｢わたし、1部屋使っていいんですか？｣

先生たちだって、勉強したり、一人の時間が欲しかったりするはずだ。不安になって聞くと、あっけらかんと井田先生は言い放った。