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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第6章 メゾンボナール305号室

「大丈夫。どうせ優も泊まりとか呼び出しで家で寝ること少ないし。俺も優も、寝るところあればどこでもいいと思ってるから」

それを聞いてから、隣の先生たちの部屋を覗いて、納得する。
確かに、寝るためだけの部屋と言っても過言ではない。

わたしより少し広めの部屋には、壁一面の本棚と、大きいベッドがひとつ、部屋の中心にどーんと置いてあるだけだった。

壁一面の本棚には、流石に医学書の類や、教職関係の本が入っていたが、ベッドは男性2人で寝ても余るくらいの大きさだった。

「疲れて帰ってきて、倒れ込んだ時、的はデカい方がいい。当たんなかったら嫌だからな」

と、後ろから覗いてきた澤北先生は、斬新なことを言ってのけた。

井田先生はそれを聞いて、クスクス笑う。

「ベッドのこと、的って言う人初めて見たよ」

「どうとでも言え」

井田先生はそのあと、トイレやお風呂の場所をわたしに教えてくれた。

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