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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第6章 メゾンボナール305号室

「あらあら、うれしかったんだね……」

井田先生は、軽い声で言いながらも、わたしの内心を的確に言い当てる。わたしは頷きながら、どうしようもなく止まらない涙に、両手で顔を覆った。

嗚咽を漏らして泣くわたしに、2人は寄り添い続けてくれた。無理に声をかけるでもなく、優しくするでもなく、ただ、ずっとそばにいてくれた。

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