優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第6章 メゾンボナール305号室
ひと通り泣いた後に、澤北先生がティッシュと一緒に差し出して来たものがある。
井田先生はそれを見て、「ふふっ」と笑みをこぼした。
それは、バニラ味のアイスクリームだった。
「久しぶりだね」
と、澤北先生に向けて言う井田先生は、なんだかとても、懐かしそうで嬉しそうな顔をしていた。
「感情がものすごく動いた後は、アイスを食べる。これは、俺と優の昔からのルール。優が考えた」
そう言って、井田先生はわたしがティッシュで鼻をずびずびさせている間に、アイスの蓋を開けていた。
「なにそれ……」
初めて聞いたそのルールに、鼻声でつぶやきながら笑う。目が腫れぼったくて、上手く笑えなかった。
井田先生はそれを見て、「ふふっ」と笑みをこぼした。
それは、バニラ味のアイスクリームだった。
「久しぶりだね」
と、澤北先生に向けて言う井田先生は、なんだかとても、懐かしそうで嬉しそうな顔をしていた。
「感情がものすごく動いた後は、アイスを食べる。これは、俺と優の昔からのルール。優が考えた」
そう言って、井田先生はわたしがティッシュで鼻をずびずびさせている間に、アイスの蓋を開けていた。
「なにそれ……」
初めて聞いたそのルールに、鼻声でつぶやきながら笑う。目が腫れぼったくて、上手く笑えなかった。