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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第6章 メゾンボナール305号室

澤北先生はその様子をみてから立ち上がって、キッチンへ入っていく。

「春斗も食べるか?」

井田先生が頷くと、澤北先生はアイスを2つ持ってやってきた。3人で食卓を囲んで無言でアイスを食べる。
何となく、それがおかしく思えて、わたしは声を漏らして笑っていた。

「泣いたり笑ったり、忙しい子だねぇ……」

と井田先生がからかうように言いながら、わたしの頭を撫でて、頬についた雫を指で拭いとる。
もう笑っても、涙は出てこなかった。

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