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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第6章 メゾンボナール305号室

家の中が急に静かになって、寂しくなる。
戻って朝ごはんを食べようと振り向く。

優があくびをしながら後ろに立っていて、驚いて身を引く。

「わっ、おっ……はよう」

「おう。……ったく春斗のやつ、俺をなんだと思ってんだ」

優は、起きたばかりで髪を束ねながら、踵を返して、ダイニングの方へ向かう。
わたしは、少し不機嫌な優の顔を見てクスクス笑う。

「ほら、一緒に飯食うぞ。まだ薬、あるんだから」

「そうだった」

わたしは焦って食卓につく。

「薬飲み忘れたりなんかしたら、怒るぞ。春斗の方が怖いだろうけどな」

そう言うと、優はニヤッと笑う。
澤北先生のことは、家では優って呼んでいる。何となく、優ちゃんより、優の方がしっくりくるから。

それと、春ちゃんのお小言を共有して、2人で笑い合うのも、似た者同士な感じがして、わたしたちは仲間だ。

「うん。昨日、洗濯物にティッシュ入ってた時、めちゃくちゃ怒ってたよね」

「……あぁ、久しぶりに怒らせたなぁ」

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