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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

キッチンでお米を研ぐ春ちゃん、リビングで本を読む優。その2人の先に、わたしの部屋の扉がある。
お腹なんか抑えながら歩いたら、絶対に広いリビングを横断しきれずに捕まる。
何とか、バレないように行かなくては。

少し早足で、痛むお腹をカバーしながら。
2人がみていないうちに……。
平静を装いながら、リビングの端を歩く。じわじわズキズキと痛みが広がるお腹をなるべく庇わないようにすると、歩き方が変になった。

その一瞬を、2人は見逃すはずがなかった。
前方から優が本を置いて、後方から春ちゃんが手を拭きながら、わたしに近づいてくる。

目を合わせないように、自分の部屋の扉だけを見つめて歩いていると、優が部屋の扉の前に立ちはだかった。
驚いて止まると、今度は後ろから春ちゃんに、両肩をトンっと掴まれる。

「……咲、どこか痛いでしょ? 歩き方変だよ。ん?」

春ちゃんが後ろからわたしの顔を覗き込む。
目を合わせたくなくて、俯いた。

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