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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

「……部屋で具合診るか」

「やだっ」

抵抗するも、立ち上がる優に、そのまま軽々と抱えあげられて、優と春ちゃんの部屋まで連れていかれる。
春ちゃんは、先回りして部屋のドアを開けた。

「優、離してよ、ちゃんと言う、お腹痛いの。お風呂上がりから痛くなった。ちょっとだけ……あの、あそこから血が……」

抱えられながら、わたしは言ってみたけれど、優は降ろしてはくれなかった。

「なら最初からそう言え。それと、いま俺は優じゃなくて澤北だ」

優が主治医の顔になったことで、これから何をするのかだいたい想像がつく。
わたしと優が部屋に入ったところで、春ちゃんがドアを閉めた。

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