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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

「咲。いいか? よく聞いてほしい」

さすられた背中の温かさに気づく。
優が、真剣にゆっくりと言葉を続けた。

「俺たちは、咲の家族だ。でも、咲が痛くてつらくて苦しいときは、助けてあげられるかもしれない、医者でもある。俺は主治医として咲を治すより先に、家族が苦しんでいるから助ける、そういう気持ちでいるよ」

じんわりと涙が溢れ出る。

「……ごめん、なさ、い」

心からの言葉に、春ちゃんは頷きながら髪の毛を撫でた。

「痛いなら、少しだけ頑張って、診てもらおう」

春ちゃんはそう言うと、バスタオルを敷き直してわたしを仰向けにした。

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