テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第8章 本当の話をしよう

言われた通りにすると、早乙女先生が慣れた手つきでわたしの胸の下辺りに帯を巻き付けた。

下駄に履き替えて、髪をお団子にしてもらう。

「はぇ〜! 思ったより大人っぽいよ〜。澤北、定時で上がらなかったら、許さないね」

早乙女先生はイタズラっぽく笑った。

「あ、ありがとうございます……!」

わたしは、自分の浴衣姿が初めてで、自分の全身を見回す。紺色に白の花柄の浴衣と、赤い帯。
髪の毛は、いつもみたいに下ろさず、後ろに1つにまとまっていて、首筋がスースーと落ち着かなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ