テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第8章 本当の話をしよう

5

屋上へ着いてから、咲が言った。

「……足、痛い」

咲をベンチに座らせて、下駄を脱がせる。
慣れない下駄で歩き回って、靴擦れを起こしていた。優が消毒液とガーゼを持ってきて、怪我の保護をする。

「ちょっと染みるぞ」

「……っ、いたい」

両足の小指のところが、なんとも痛々しい。

「もっと早く言え」

処置しながら、優が言った。咲はしょんぼりと、ガーゼに包まれた足先を見つめる。

「気づかなかったの……ごめんなさい」

「楽しくて痛くなかったんだね」

俺がそう言うと、咲は頷いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ