テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ


「どうした? 寂しいか?」

優はわたしの頭をゆっくりと撫でる。
わたしは素直に、頷いていた。


……今まで、人に甘えるということをしてこなかった。甘えるということが、わからなかった。
つらいとき、 どうしていいのかわからなかったのだ。
助けて欲しくても、助けてって言えない。そもそも、頼ったり甘えたりできる人が一人もいなかったから、自分の中で消化するので精一杯だった。

でも、ここに来て、わかった。
優と春ちゃんと暮らし始めて、ようやくわかった。自分の思うように、動いていいこと。
優や春ちゃんを、頼って甘えてもいいこと。

痛い時には、誰かにそばにいて欲しい。
単純なことだったんだ。
自分の気持ちに、素直に従ってみてもいいんだと気づく。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ